讃岐うどん巡り体験コラム:001 うどん店編
うどん巡りの心構え
「本来の讃岐うどんの魅力とは? コシがあること?」といった質問をよく聞きます。
確かによく「讃岐うどんのならではのコシ」という形容に聞き覚えがありますが、実は店によって味・食感はバラバラなんです。
硬かったり柔らかかったり、太かったり細かったり。
また店によって美味しいうどんの為に努力してるモチベーションの高い店もあれば、なんとなくやってるような店もあります。
ではモチベーションが高ければ味はいいかというとそうでもなかったり。
そういう様々な要素が存在しうる包容力こそが讃岐うどんの魅力なのです。
だから当サイトでは「色々あるが讃岐うどん」と説明しています。
ですから讃岐うどん巡りされるときは、固定観念をもたず色々な讃岐うどんを楽しむという気持ちで臨むといいでしょう。
讃岐うどん巡りしていると「こんな味で店やってけるの?」というような不味いうどんにあたったりすることもあります。
また美味しいと思って何回も通ってる店で、たまたま出来の悪いうどんにあたって落ち込むこともあります(←これホントがっくりきます)。
それもまた楽しいです。
閉店時刻と開店時刻
讃岐のうどん屋さんの営業時間は結構アバウト。
特徴的なものとして「麺切れ終了」というのがあります。
文字通り、売るうどんがなくなったら終了?というもの。
なので閉店時刻に近い時間に行っても既に終わってるということがままあります。
営業時間中は開いてて当然という感覚とはズレますが、このシステムが安くうどんを提供できる要因でもあるので「郷に入れば」の気持ちで臨むのが大事です。
そこでおすすめするのが開店時刻重視のうどん巡り。
大量のうどんを釜でゆであげて、せいろに玉に取ったうどんを注文に応じて出していく、ということをうどん店は1日のうちに何回も繰り返します。
即ちタイミングによってできたてに当たったり、時間のたったうどんに当たったりという差が生まれます。
開店時刻ならほぼ必ずできたてのうどんにあたりますし、麺切れの心配もないというわけです。
なのですが、ある店へ開店時刻に訪問したときはこんなことが…
店へ入ると店主が出てきて「今日は用事があって店開けるのは3時間あとになるんや?」
その日はあきらめ、また別の日の開店時刻に行くと「今日はまだ仕込みができとらんのや?。1時間くらいかかるわ(内心ズッコケ)」
もちろん全部が全部アバウトというわけではありませんが、色々な店がある讃岐ならではの一光景ということで。
讃岐うどん店の定休日
勤め人の昼食需要が主流の讃岐うどん店は日曜休みの店が多いです。
最近はブームの影響もあってか日曜を開けて違う曜日に休んだり、無休にする店も増えてきました。
とはいえ目当ての店の定休日は事前にキッチリ調べるのが大事です。
ところで休みに関しても讃岐のうどん屋さんの感覚は割とゆるいです。
客商売たるもの極力休まない前提で考えるものですが、讃岐のうどん屋さんはちょっとした用事で臨時休業を取ったりします。
これも讃岐ならではといえます。
訪問した店が運悪くそんな日に当たったら潔くあきらめましょう。
私もうどん巡りでよく臨時休業にあたりました。
そのなかでも「店主腰痛につき休業します」という張り紙を見たときは「うどん屋さんって大変だなぁ」と改めて感じました。
うどん屋にみえない
讃岐うどんを文化としてみると、客も店もどこか大らか。
そう感じる要素の一つが店の外装・内装です。
飲食店なら「よりふさわしく・より居心地よく・より集客効果の高い」といった経営学的な考慮を内外装においてもはらうものです。
ところが讃岐うどんの場合、今風にいうと「かっこいんじゃね?」「面白いんじゃね?」「風格でるんじゃね?」といった
半ば思いつきレベルで表現した内外装をそこかしこで見ることができます。
例えば…
客席をパステルカラーで染め上げた「T」。
中華料理店かと思える色使いの外装の「T」に、眼鏡屋かと思える看板の「Y」。
屋根が青一色の「T」、逆に真っ赤っかの「S」。
どう見ても読めない店名の「W」
そして個人的に一番ツボだったのは「M」。
店名のロゴがなんと「古印体」。
使っていけないわけではないけど、いまどきのイメージからすれば「ホラー」。
どんな店かと思えば店主は洋食出身でますます意味不明でした。
ちなみにこの店は既に廃業してます。
もっとも「これがうどん店とは思えない」というフレーズもうどんブームの一要因なので、ツッコミを入れつつ楽しめばいいと思います。
うどん店の系譜
現在香川には約800軒のうどん店があります。
廃業する店が多くでる一方、新規開業する店も多く、ここ数年ほぼ同じ軒数で推移しています。
さて、うどん店を開業するための技術習得にはいくつかの方法があります。
その一つが弟子入り。
既存の店に見習いとして入り頃合いをみて独立するというもので、他の飲食業と比べるとハードルは低いように見受けられます。
一般的な弟子入りだと裸一貫から長年の下積みを経て独立という感じなのに対し、讃岐うどんでは半年ほどで独立するケースも。
もちろん楽して開業できるというわけではないのですが、結果として様々な経歴の持ち主による店が林立している状態となっています。
弟子入りはたいがい有名店なので「あの店はどこそこで修業した」とうどん好きはしっかり把握していて、ちょっとした系譜ができあがります。
とある有名店「O」。
そこでは常時修業生を募集していて店内外に告知がしてあるのですが、その第一版(?)に書いてあった「厳しく指導します」の文言が二版以降はなくなってました。
「集まりが悪かったのだろうか」と余計な心配をしてました。
もっとも今でも指導は厳しいと思います。
何故ならその店、時間によって店主が接客にあたるのですが、
店主がいるときといないときで店員の緊張感が違うのです。
不在のときは店員の緊張感がやわらいでるような気がするからです。