讃岐うどんとは一言で言うと、讃岐地方(香川県)で生まれ作られてきたうどんのこと。
※原材料の小麦粉は「県内産に限る」といった規定も概念もありません。(2004年11月22日追記)
讃岐うどんとは?
「色々ある」が讃岐うどん
公正取引委員会による「讃岐うどん規約」は、うどん店の現状から作成したお土産うどん等販売品の規格と思われます。
実際、特に麺の水分は他の地域に比べて高めなのが特徴的ですが、
むしろ「讃岐地方(香川県)で生まれ作られてきたうどんが讃岐うどんである」と考えたいところです。
何故なら店によってその味(食感)は様々。加えてその食べ方も色々あるからです。
「讃岐で一番美味しい店を教えてください」という質問をよく目にします。
他の名物では自然に思える質問ですが讃岐うどんの場合は全く当てはまりません。
色々な食べ方、色々な店による味の違いを楽しむことこそが今の讃岐うどん巡りやツアーの神髄。
「色々ある」が讃岐うどんと覚えましょう。
■原材料の小麦粉について
原材料の小麦粉はそのほとんどを海外からの輸入品でまかなっており、特にうどん用に開発されたASW(オーストラリアン・スタンダード・ホワイト)がその主流となっています。
この状況に対し、県内産小麦の使用推進とブランド化を目指し県主導で作られたのが「さぬきの夢2000」ですが、質・量ともにASWを凌ぐまでには至っていない、というのがよく聞かれる評価であり、香川県人や讃岐うどん好きの共通認識でもあります。
(2004年11月22日追記)
とかく粉の扱いが難しく製麺しにくいと言われる「さぬきの夢2000」ですが、香りと食感の良さを生かそうと導入する店が増えてきました。
(2007年03月09日追記)
その後の品種開発により、製麺のしやすさと風味を両立させた後継品種として「さぬきの夢2009」が登場している。現在でも原材料小麦粉の主流はASWに変わりないが、質的には両者甲乙つけがたいというところまできているようです。
参考:「さぬきの夢(木下製粉株式会社)」
(2014年05月12日追記)
麺の状態
うどんが生まれて死んでいくまで。食べる側から見た讃岐うどんの一生をまとめてみました。
- 生麺
- お湯で茹でる前の状態。
お土産用にパッケージして売る店もある。 - 釜揚げ(状態)
-
お湯で茹で上がった直後の状態(※)。
表面にはぬめりが残され食感は柔らかい。うどんの風味がよりよく味わえる。
釜あげ、釜玉、湯ぬき(釜揚げぶっかけ)などに用いる。
注文のタイミングによってはかけにも用いられる。
※厳密には注文品として出す場合、本来の茹で上がりより短い時間で釜から揚げる - 水で締めた状態
-
茹で上がった麺を水にさらした後の状態。
表面のぬめりは取れ、麺のコシがでる。
ざる、ぶっかけ、かけ等定番メニューに用いるうどんの基本型といえる状態。 - 作り置きの状態
-
水で締めたうどんは、せいろに置かれて客の注文を待つ。
注文がないまま時間が経つとそのまま作り置きの状態へと変化する。
時間の経過と共にうどん本来のコシがなくなっていく。
(→実践編の解説)
だしの種類
讃岐うどんに使われる汁の種類を味の薄い順にまとめてみました。
全四種類。さまざまある讃岐うどんのメニューもこの四種と麺(うどん)の状態の組合せであり、
そのもととなるこの四種は讃岐うどんの四天王とも言うべき存在です。
ちなみに、讃岐うどんでは「つゆ」とは言わず何でも「だし」と呼びます。
- かけだし
- いわゆる普通のうどんつゆ。
だしの素はいりこ(煮干し)が基本で、いりこが効いただしは塩っぱいことが多い。
最近はいりこ風味を抑えただしも増えてきている。
丼の大きさ、形状から、他地域に比べて汁の量が少な目(麺がひたる程度)が多い。 - ぶっかけだし
- 少量(一玉に対して100cc程度)麺に直接かける濃いめの汁。
ある客が、つけだしを麺に直接かけて食べたことが起源ともいわれる。
かけだし同様いりこが効いた塩っぱいだしが起源だったようだが、最近はみりん(砂糖)を利かせた甘めのだしが主流。 - つけだし
- 釜あげうどんや、ざるうどんに使われる濃いめのつゆ。
ざるそばと同様にして食べる。 - 醤油
- 極少量(20cc程度)回しかけて使う。
調味料や甘味料を加えた「生醤油・だし醤油(※)」、市販の醤油、独自の「特製醤油」等、
店により違いがある。
(→ポケットデータ:だし醤油コレクション)
※「生醤油」とは、本来製造工程における火入れ(熱処理)をしない醤油のこと
「麺が主役」の讃岐うどん
讃岐うどん巡りやツアーに行くと何より麺が主役なのだと思わされます。
その一番の要素が「かけうどん※」という呼称。
即ち麺に汁を「かける」から「かけ」ということです。
別の呼び方に「すうどん」というのがあります。これは本来あるべきはずのかやく類がないということ。
麺・つゆ・かやくがセットになってうどん一品となる考え方です。対して讃岐では麺が主役。
ゆえに讃岐では決して「すうどん」とは呼ばず「かけうどん」と呼ぶのです。
また讃岐ではうどんにかける汁は「つゆ」ではなく、かけだし、ぶっかけだし、つけだし等なんでも「だし」と呼びます。
そしてかけを食べる際のかけだしの量は少ないです。丼自体がそういう大きさになっています。
この「だし」という一段下がった呼び方や少ないだしの量。これらにも麺を主役とする考え方が垣間見えます。
ちなみにだしは全部飲み干すのが讃岐流の食べ方。
セルフ店などで自分でだしをかける時は残さないよう気をつけましょう(薬味も同様)。
余談ですが、セルフ店で自分でうどんにのせるかやく類の呼び方も独特。
主に天ぷらが占めますが棒天などの練り物であっても「天ぷら」という呼び方で通用します。
※略して『かけ』。アクセントは『か』